ボーダーコリーとゴールデンレトリバー、両方飼って分かった性格の違い【15年の実感】
ボーダーコリーのラクと、ゴールデンレトリバーのレン。まったく性格の違う2頭と暮らしてきた飼い主が、運動量・賢さ・甘え方・犬づきあい・車・子犬時代まで、実体験だけで綴る読み物です。

デカワン編集部
ゴールデンレトリバーオーナー / 飼育歴15年
目次
犬と暮らしてきた15年で、私はまったく性格の違う2頭と過ごしました。
1頭は、ボーダーコリーの ラク 。もう1頭は、いま隣で寝ているゴールデンレトリバーの レン です。
ラクは3年前に見送りました。その後しばらくして迎えたのがレンなので、実はこの2頭が顔を合わせたことは一度もありません。時期が重なっていないぶん、それぞれと真正面から向き合ってきました。だからこそ、「同じ犬でも、こんなに違うのか」という驚きを、いまでも鮮明に覚えています。
ここに綴るのは、ボーダーコリーとゴールデンレトリバー、両方と暮らしてみて感じた 性格の違い です。同じ「賢い犬種」と言われても、一緒に暮らせばこんなに違うのか——その手ざわりを、実感だけで書いてみます。犬好きの方に楽しんでもらえたらうれしいです。
まずは、2頭のこと
ラク(ボーダーコリー・男の子) 牧羊犬の血を色濃く残した、とにかく頭が切れる犬でした。ボーダーコリーは犬種図鑑では中型犬に分類されますが、その運動量と集中力は、体の大きさで語れるものではありません。
レン(ゴールデンレトリバー・女の子) いま2歳。大きな体で、いつも誰かにくっついていたい甘えん坊です。人が大好きで、その「大好き」に一切の遠慮がありません。
同じ「賢い犬種」と言われる2頭ですが、暮らしてみると、賢さの中身も、甘え方も、人との距離の詰め方も、まるで違いました。順番に書いていきます。
運動量:ボーダーコリーは「散歩」の概念が違った
いちばん体で覚えているのは、運動量の違いです。
ラクとの散歩は、正直に言って 大変でした 。朝・昼・夜の1日3回。1回が長いときは3時間近く歩いていた記憶があります。それだけ歩いても、家に帰ったラクの目はまだ「で、次は?」と言っていました。それどころか、帰宅するなり、家の端から端までを全力ダッシュで何往復もするのです。あまりに速くて、その姿はまるで 「黒い弾丸」 。3時間歩いてきた直後とは、とても思えません。ボーダーコリーにとって散歩は、体を動かすだけでなく、 頭を使って満たされる時間 なのだと思います。ただ歩くだけでは足りず、こちらが飽きるほど頭を働かせてもらう必要がありました。
散歩といえば、ラクの方向感覚には何度も驚かされました。かなり遠くまで足を延ばして、私のほうが「ここ、どこだろう?」と心細くなっても、リードを緩めてラクに任せれば、ちゃんと家まで連れて帰ってくれるのです。頭の中に地図が入っているとしか思えませんでした。
正直に言えば、あの運動量に付き合えたのは、当時の私が個人事業主で時間の自由がきいたから、そして自分自身もまだ若くて体力に余裕があったからだと思います。今の生活だったら、とても同じようには歩けません。それくらい、ボーダーコリーが必要とする運動量は本気なのです。
一方、ゴールデンのレンも大型犬ですから、しっかりした運動は必要です。ただ、ラクの「無尽蔵さ」とは桁が違いました。満足すると、リビングのひんやりした床にごろんと伸びて、そのまま夕方まで幸せそうに寝ています。
余談ですが、レンは子犬のころ、実は散歩がそれほど好きではありませんでした。少し外に出ると、すぐ「もう帰ろう」と踵を返すのです。ところが、 外に出れば大好きな人にたくさん会える——そう気づいてからは、すっかり散歩好きになりました。動機が「運動」ではなく「人に会えるから」なあたり、いかにもレンらしいと思います。
賢さ:ラクは「言葉が分かっていた」
ボーダーコリーは「世界一賢い犬種」と紹介されることがあります。一緒に暮らして、その評判は誇張ではないと感じました。
ラクは、こちらの言っていることを 全部分かっているんじゃないか と思う瞬間が、何度もありました。散歩中に「そこ、右に行くよ」と声をかければ、ちゃんと右に曲がる。「今日は行かないよ」と言えば、しゅんとして諦める。単語というより、声のトーンや気配から、こちらの意図そのものを読み取っているような賢さでした。自分の頭で考えて動く、そんな賢さです。
では、ゴールデンのレンは賢くないのかというと、そんなことはありません。レンもとても賢い。ただ、 賢さの種類が違う のです。
レンの賢さは、人の気持ちに寄り添う方向に向いています。こちらが落ち込んでいるとそっと隣に来るし、家族の空気を読んで場を和ませるように動く。それでいて、言葉もちゃんと分かっています。おもちゃをくわえて「遊ぼう」と誘ってきたとき、「今は遊べないよ」と言うと、すっと引き下がって、ひとりで遊びはじめるのです。自分で判断して動くラクとは方向が違う、 人と暮らすことに最適化された 賢さ、と言えばいいでしょうか。
同じ「賢い」でも、ラクは"自分で考えて動く相棒"、レンは"寄り添ってくれる家族"。並べてみて、その違いがくっきり見えました。
手がかかったのは、やっぱりラク
賢くて何でもできる印象のラクですが、その賢さの裏で、手を焼いたこともありました。
いちばんは、 お風呂 です。とにかく苦手で、洗おうとするたびにあの手この手で逃げ回り、浴室に入れるまでがひと苦労。いざ風呂場に入れてしまえば、観念しておとなしくなるのですが、そこにたどり着くまでが毎回ちょっとした戦いでした。
拾い食いのしつけ にも苦労しました。散歩中、落ちているものへの興味が強く、「それはダメ」を根気よく教え込むまでは、ずいぶん気を張ったものです。頭がいいぶん、一度しっかり覚えればきちんと守ってくれましたが、そこまでの道のりは大変でした。
甘え方と人との距離:レンは、全身で人が好き
甘えん坊なのは、圧倒的にゴールデンのレンです。
とにかく、 常にひっついてきます 。私が部屋を移動すれば、ついてくる。ソファに座れば、体を預けてくる。人と人の間に割り込んで寝るのも当たり前。レンにとっては、人と物理的にくっついていることが、いちばんの幸せなのだと思います。
そして、その「人好き」に一切の遠慮がありません。散歩中に知らない人が近づいてくれば、全力で尻尾を振って、そのままついていこうとするほど。誰に対しても「あなたのことが大好きです」という顔をします。人が好きすぎるのです。
ラクも人は好きな方でした。でも、レンほど無条件ではありませんでした。どこか自立していて、こちらと"対等"な距離感がある犬でした。ベタベタというより、良き相棒。そんな関係だった気がします。
犬づきあい:ラクは柴犬が苦手だった
人には穏やかなラクでしたが、 他の犬との相性 になると、また違った顔がありました。
芯の強い犬で、散歩中に吠えかかられると、引かない。売られた喧嘩は買うタイプでした。特に 柴犬とは、基本的に反りが合わなかった 印象があります。こちらの警戒心が伝わるのか、それとも気質が似すぎているのか。柴犬を見かけると、たいてい緊張が走ったものです。
対して、レンはどうかというと——吠えられようが、まったくお構いなし。相手が威嚇してきても、本人はどこ吹く風で、むしろ「遊んでくれるの?」くらいの顔をしています。この鷹揚さは、ゴールデンという犬種の気質もあると思いますが、男の子のラクと女の子のレン、オスとメスの違いも関係している気がします。
番犬にはなりません(特にゴールデン)
はっきり書いておくと、 どちらも番犬にはなりませんでした 。特にゴールデンのレンは絶望的です。
来客があれば、警戒するどころか、いちばんに玄関へ走っていって歓迎します。知らない人にも尻尾を振り、あわよくば撫でてもらおうとする。「守ってくれそう」というイメージで大型犬を選ぶと、ゴールデンレトリバーはいい意味で裏切られます。番犬を期待する犬種ではありません。
ラクも、人に対して吠えて威嚇するタイプではありませんでした。賢いぶん、状況をよく見ていて、無駄に騒がない犬でした。どちらの犬種も、「番犬」を主目的に迎えるのは違うと思います。彼らの魅力は、そこにはありません。
車:ラクはドライブ大好き、レンは乗ってくれない
意外だったのが、車への反応です。
ラクは 無類の車好き でした。ドライブが大好きで、しょっちゅうあちこちへ連れて行ったものです。エンジンの音がすると、もう行く気満々。
ところがレンは、正反対。 無理やり詰め込まないと、車に乗ってくれません 。酔うわけではなさそうなのですが、あの大きな体でぐっと踏ん張られると、こちらも一苦労です。同じ犬でも、こんなに違うのかと笑ってしまいます。
それでも、また犬を迎えた
ラクを見送ったあとのことも、正直に書いておきます。
ペットロスは、本当につらいものでした。覚悟していたつもりでも、まったく足りませんでした。 1年くらい、立ち直れなかった と思います。家の中のふとした場所に、いない犬の気配を探してしまう。見送って半年ほど経っても、部屋のどこからともなくラクの毛がふっと出てきて、そのたびに悲しくなりました。あの喪失感は、経験した人にしか分からないのかもしれません。
そんなとき、周りから言われたアドバイスがありました。「 子犬を迎えるのが一番 」だと。子犬の世話は大変すぎて、ロスで落ち込んでいる暇もなくなるから、と。当時はなかなかそう割り切れませんでしたが、結果的に私はまた犬を——ゴールデンレトリバーのレンを迎えました。
そして実際、レンを迎えてからの半年は、本当に大変でした。甘噛みの力加減がまだ分からない子犬で、私の腕はいつも傷だらけ。毎日どこかしら流血していた記憶があります。ロスに浸る暇がなくなる、というアドバイスは、ある意味で本当でした。
そういえば、ラクの子犬時代も相当なものでした。もうずいぶん昔で記憶は薄れていますが、歯がかゆかったのか、 家中の家具を片っぱしからガジガジ して回っていました。腕を噛まれた記憶より、家具が犠牲になった記憶のほうが強いくらいです。ちなみにレンは、人の腕はよく甘噛みしましたが、家具の破壊はほとんどありませんでした。噛む対象ひとつとっても、まるで違うのが面白いところです。
ラクの代わりを探したわけではありません。代わりなんて、いるはずがない。ただ、犬のいない生活には、どうしても戻れなかった。あの温かさ、あの手のかかる幸せを、もう一度暮らしの真ん中に置きたかったのだと思います。
もし今、大切な子を見送って苦しんでいる方がこれを読んでいたら、「早く立ち直って」とは言いません。ただ、時間はかかっても、犬とまた暮らせる日は来ます。そして、その子はまた、まったく新しい幸せを連れてきてくれます。
性別の違いも、きっと大きい
ここまで「ボーダーコリーだから」「ゴールデンだから」と書いてきましたが、正直に付け加えておきたいことがあります。 ラクは男の子、レンは女の子 です。犬種の違いだと思っていたことの中には、実は 性別による違い も混ざっているはずなのです。
暮らしていて、性別の差は思っていた以上に大きいと感じます。よく「男の子は甘えん坊でやんちゃ、女の子は落ち着いていて自立している」と言われますが、我が家はどちらかというと逆で、女の子のレンのほうがべったり甘えてきます。このあたりは本当に個体差が大きく、一概には言えないと実感しています。
犬種の傾向・性別の傾向・その子の個性——この3つが重なって、目の前の一頭ができあがっている。ラクとレン、まったく違う2頭と暮らして、それを何度も実感しました。
まとめ:優劣ではなく、それぞれの愛おしさ
ボーダーコリーとゴールデンレトリバー。両方と暮らして、いちばん感じるのは、 どちらが優れているかではない ということです。
- ボーダーコリー(ラク):無尽蔵の運動量と、自分で考えて動く賢さ。手はかかるけれど、頭を使って向き合うほど応えてくれる、頼もしい相棒でした。
- ゴールデンレトリバー(レン):人が大好きで、全身で甘えてくる。人との暮らしに寄り添う賢さがあり、そばにいるだけで場が和みます。
犬種の特徴はあくまで「傾向」。そこに性別が重なり、最後はその子一頭の個性で、世界にたった一頭の相棒ができあがります。
ラクが教えてくれたこと、レンが教えてくれていること。まったく違う2頭が、私の15年をどちらも豊かにしてくれました。これから犬と暮らす方の、その子との毎日が、幸せなものになりますように。
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